時間〈とき〉ラボ運営事務局 さん
1949年、生産現場のコンサルティング活動を行っていた日本能率協会が、「時間もまた資源である」という考えのもと、戦後まもない日本で初めて“時間目盛り”を採用した手帳として「能率手帳」を発行しました。その後、人材育成支援事業、手帳事業、出版事業等の事業部門を集約し、1991年に日本能率協会から分離独立する形で㈱日本能率協会マネジメントセンター(略称:JMAM)が設立されました。
「#JMAM手帳を知る」では、手帳づくりの舞台裏を垣間見たり、歴史を振り返ったり……。社員すら知らない!?情報も盛り込みながらJMAMが手がけてきた手帳のあれこれを毎回いろんな角度からお伝えしていきます。
全3回の連載でお届けするNOLTY手帳のメイン工場・株式会社新寿堂のこだわりの手帳づくり。いよいよ最終回となりました。
前回の記事では、徐々に手帳の形に仕上げていく製本の工程を中心にご紹介しました。連載の最後を飾る今回の記事では、仕上げの工程をご紹介します!
▲NOLTYの代表的なアイテムである能率手帳を例にした製造工程。最終回は仕上げ断ち~表紙くるみまでをご紹介します。
またもや事務局スタッフ全員大好きな二宮さんに案内してもらいました!二宮さん、連載最終回もよろしくお願いします!
▲毎回違うカットを容認してくれる優しい二宮さん。
~前回の補強部分のおさらい~
糸でかがり、糊で固め、テープで巻いて補強完了!
〜前回のおさらいはここまで〜
次は、手帳の仕上がり寸法(実際に仕上がるサイズのこと)になるよう、三方を断裁します。
▲三方(さんぼう)とは、寒冷紗が巻かれた背以外の天地と横部分の三辺のことです。
この後は背巻き工程を終えた手帳を機械にセットして・・・
同時に立ち落とし・・・
最終的な手帳の寸法に整えます。
▲完成!みなさんのお手元にある手帳のサイズになりました!
その後、折曲防止のため角部分を丸くカットする加工も行います。新寿堂で作るNOLTYやPAGEMの手帳は、ほとんどがこの角丸の加工をしています。
▲ふと手帳を持ったときやページをめくる際、手が傷つかないよう角を丸くしています。また角が汚れることを防ぐ機能もあります。
角丸加工を終えたら、次は見出し(インデックス)の加工を行ったり、手帳の断面(小口)に色付けの加工を行ったりします。ここは商品の仕様によって工程が異なりますね。
▲見出し(インデックス)の付いた手帳。
インデックス加工は製本された手帳を機械に入れ、カットするページを機械が認識してカットしていきます。(すごく高速です!そのため、写真がぶれています・・・)
▲機械がどこのページでインデックスカットするかを認識。
▲インデックスはサイズによって2回に分けてカットされます。こちらはインデックスの形に半分カットし終わったところ。これからカットしていない方をカットしていきます。
▲まだカットしていないところにインデックスの形をしたカッターを当てて・・・
▲ガシャン!!
▲インデックスの出来上がり!
カットが終わったら、見出しに入っている月数字のスタンプを高精度の機械で押していきます。(これまた高速です)
▲インデックスページをひらき・・・
▲インデックス型に切ったところに月数字をスタンプで押します!
出来上がった手帳を見るとお分かりいただけると思いますが、月数字がガタつくことなく、縦にまっすぐ揃っています。使う人が見やすく、使いやすい形にするための工夫です。
色付けの加工の方は、職人が手作業で刷毛を使って美しく仕上がるよう色付けをしていきます。仕上がりが綺麗になるような染料を使用しており、それをムラなく塗るには機械ではなく、やわらかい毛のブラシを使って手作業で塗るのが適しているのです。
▲NOLTYの代表商品である能率手帳の小口に色付けをしている様子。独自に配合した染料を素早く、ムラなく刷毛で塗っていきます。
刷毛で塗った後、キレイな艶を出すために瑪瑙(めのう)といわれる硬い石を使って専用の機械で磨き上げます。
▲表面が滑らかで、かつ硬さのある瑪瑙(めのう)で磨き上げます。昔、色々な石を試した結果、瑪瑙(めのう)が1番きれいに磨き上げることができたそうです。仕上がりの艶と美しさが違います。
または、小口部分に色を塗るのではなく、金や銀の箔を付ける商品もあります。NOLTYのフラッグシップモデルの「能率手帳GOLD」がそれですね。専用の機械にセットして、小口部分に熱と圧力で金箔を転写させます。
▲回転させながら小口部分に金箔を付けていきます。
色付けや金箔・銀箔などを施すことで、見た目の美しさ・重厚感が増すだけでなく、汚れ防止という役割も果たします。1年間できるだけ綺麗な状態で使い続けられるよう、手垢などの汚れや日焼けなどの変色を防いでくれるんです。
小口部分のインデックス加工や色付け加工まで終えたら、最後の仕上げになります。手帳本体に糊付けをして、しおりを付けます。細い糸を硬く織った手帳用のしおりで、特別な粘着剤を使ってくっ付けます。
▲横の黄色の糸がしおりになる糸です。
しおりを付けた後は、いよいよ手帳の表紙と本体をセットします。商品の仕様によって異なりますが、サック式と呼ばれるカバータイプの手帳であれば、表紙に本体を差し込む作業になるのですが、表紙と本体が一体となった「くるみタイプ」と呼ばれる能率手帳は、実は1冊1冊手作業で表紙カバーに糊付けして、くるんでいきます。
▲手作業で糊を塗り、素早く表紙と本体を貼り付けます。糊を一回付けると修正がきかないので、熟練された正確さとスピードの両方が求められます。
一般的なくるみの手帳では機械を使ってくるむこともできるのですが、能率手帳の場合はポケットとバンドが表紙の裏に付けられていて機械の構造上くるめないので、手作業で行っているんです。新寿堂はこの手くるみラインがしっかりと伝統として受け継がれているのも特徴ですね。
▲能率手帳には後ろにポケットとバンドが付いています。
表紙と本体を合体させた後、表に付ける帯やポケットに入れる付属品等をセットし、検品を経て出荷されます。検品はなかなか細かいチェックが入るので気は抜けませんが、これでJMAMの手帳の製造工程はおしまいです!
最後に・・・仕上げ工程責任者の高橋さんに改めて、JMAMの手帳のこだわりを聞いてみました。
「気づかない細かなところまでこだわるモノづくりの精神が宿っているところです。目に優しい色を1mmずれることなく通年印刷できるところ、印刷した文字がずれない製本技術、毎日何回も手帳を開いても崩れない耐久性、使いやすい紙のカット技術など、数えきれないぐらいのこだわりが詰まっているJMAMの手帳。作っている一人ひとりの気持ち・こだわりがぎゅっと詰まった1冊なので、そこも伝わると嬉しいです」と話していました。
▲仕上げ工程責任者の高橋さん。
\NOLTY公式Instagramで動画公開中/
今回のコラムでご紹介した工程の様子を「ひたすら○○シリーズ」と題して動画でご紹介しています。
より記事の内容がお分かりいただける動画になっておりますので、是非こちらも合わせてご覧ください!
②高速でページをめくってカットしていく「インデックスカット」
※音をお楽しみいただくために現場の音を入れております。視聴の際は音量にご注意ください。
~編集後記~
全3回にわたってNOLTY手帳のメイン工場・新寿堂のこだわりの手帳づくりをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?一般書籍とは違って工程が多く、その分段取りを変えることも多いため、実は奥が深い手帳の製造。1年間みなさまと共に歩むために、丁寧に、そして確実にモノづくりと向き合っていました。今回の連載で、少しでも製造側の想いやこだわりがみなさんに伝わればいいなぁと思う事務局一同でした。
でも・・・品質部分でまだまだ伝わっていないかもしれない!!ということで・・・
「#JMAM手帳を知る」では今回を含め計3回、新寿堂より手帳製造工程をご紹介してきましたが、ときラボ初のオンライン工場見学会を開催します!手帳製造の様子を動画や新寿堂と中継などを交えてご紹介したいと、絶賛計画中です!
見学会後は、コラム内でもいい味を出してくれている新寿堂・生産管理責任者の二宮さんに、直接手帳づくりに対する質問ができるファンミーティングも予定しています。
新寿堂・生産管理責任者の二宮さん
<イベント開催概要>
・形式:オンライン(ZOOM)
・ゲスト:新寿堂・生産管理責任者 二宮さん
・開催時期:9月10日(土) ※募集締め切り:8月15日(月)
・開催時間:14時~16時
・参加人数:20名様まで ※応募人数が超えた場合は抽選とさせていただきます。
・応募方法:下記の専用応募フォームからご応募ください
記事にいいね!やコメントを残すと、当選率がアップするかも!?
ID00 さん
応募しました!
手帳の製作過程を拝見できると嬉しいです。
めい さん
応募させていただきました。本当はオンラインではなく実際に伺いたいくらいです・・・!!!!!
みゆきんこ さん
二宮さんのポーズが決まってますね✨ファンになりそうです😊
まきの(*^^*) さん
リアルに「音」と「におい」を体験してみたいです☆彡
みどり さん
応募いたしました。楽しみにしています。
しばと さん
毎年新しい手帳を手にする度に、紙のなめらかさ、裁断の美しさ、印刷の正確さなどを堪能しています。その裏でやはり私たちに見えないところで製作者さんたちの技術やこだわりがあるからなんですよね。どうもありがとうございます!