時間〈とき〉ラボ運営事務局 さん
みなさま、こんにちは。「手帳の現場から」では、手帳の現場の“今”をお伝えします。
前回の記事「もう終わり!?23年1月始まり手帳の企画の裏側」では、企画部門がすでに来年の手帳の企画を終えて、制作部門と連携して校正しながら徐々に手帳を作り始めていることをお伝えしました。
今回は、その来年の手帳たちがいよいよ出荷直前ということで、検品中の制作部門へ取材しました。検品はJMAM手帳の品質として世に出してよいか、確認する最後のチェックポイントです。品質がどのように保たれているのか、早速聞いてみましょう!
今回インタビューに対応してくれたのは、制作部門に所属する遠藤。
▲遠藤は制作部門で経験を積み、部門責任者となって今年で5年目を迎えた生産・品質管理のスペシャリストです。
―――前回、企画部門へ取材した際は、制作部門と連携しながら校正業務を行い、徐々に手帳の形に仕上げて、一部の手帳ではすでに印刷して製本工程に入っている時期と聞きました。あれから来年の手帳たちはどのような状況になっているか、教えてください。
遠藤:来年の手帳は早いお店で8月頃から店頭に並ぶので、今は出荷前の検品中になります。この検品は、制作部門のメンバーがあらゆるチェックを終えたあと、お客様に手に取っていただける状態かどうかをチェックする最終の段階になります。
―――いよいよ来年の手帳たちが出荷される直前ということですね!!あらゆるチェックを終えたあと、とのことですが、どんな工程を経て今に至るんですか?
遠藤:社内の制作部門メンバーと、社外にも協力いただいている校正者も含め、1つの品種の手帳を十数名でチェックしています。手帳の中身の方は校正が4段階あって、最後の出来本(できぼん/製本作業が完了し、できあがった本のことを出来本と言います)という段階になると、最大44項目からなるチェックシートに沿って細かくチェックします。
▲手帳の中身の校正チェックシート。
―――44項目!?気が遠くなる数…!しかも目を通す人数が多いということは、その分確認するタイミングが増えるということですよね?こんなにチェック体制しっかりしているとは思ってなかったです!ちなみに手帳の中身ということでしたが、表紙カバーはまた別のチェック体制になるのでしょうか?
遠藤:そうですね。表紙カバーはまた別のステップを踏んでチェックしていきますし、もちろんチェックシートも別であります。手帳の中身のチェックシートよりもう少し確認する項目が増えますね。
▲表紙カバーの校正チェックシート。
―――手帳の中身に加えて表紙カバーのチェックシートも…この辺りの細かい確認を終えて製造された手帳たちが、出荷前の最終チェックで検品されるんですね。検品はどういった部分を確認されるのでしょうか?
遠藤:実はここで表紙カバーに手帳の中身がセットされた状態を初めて確認するんです。なので、まず確認する部分として、指示したセット状態になっているか。手帳に巻かれた帯と手帳が正しいか、内ポケットにセットされた付属品が順番通りに揃っているのかなど、外観のチェックから中を開いてチェックしていきます。
遠藤:それから、ページをめくりながら乱丁・落丁がないかを確認したり、しおりやペンホルダーなどの仕様もチェックします。
▲正しい色や本数、長さのしおりが付いているかをチェック。2本しおりが付いていれば、同じ長さになっているかもチェックします。
―――先ほど、しおりを少しひっぱって確かめていたのは強度でしょうか?以前から気になっていたのが、しおりの長さです。しおりの長さは、どのような基準で決めているのでしょうか?
遠藤:使いやすさですね。しおりを使ってページを開けるときって、綴じているときは内側にあるけど開けるときにちょっと外に引っ張りながら斜めにしてページを開けたりしますよね。横にズラしたときに埋もれちゃうと使えないので、角にしおりがちょっと出るくらいの長さにしています。
▲手帳を綴じているときは内側にしおりがまとまっていることが多い。その際に長すぎると汚れたり引っかかったりしてしまうので、適正な使い易い長さであることも意識して確認しています。
―――しおりひとつとってもそんな基準やこだわりがあったなんて…知りませんでした。
遠藤:お客様の使い勝手は意識しています。ページの中間で開ける方もいれば、角までズラして開ける方も様々いらっしゃると思うので、みなさんに程良く使っていただける長さであることが重要ですね。あと、手帳のサイズによっても変えていたりします。大きな手帳だと重さもあるので、そこそこ長さがないと開けるのもしんどいですよね。
―――なるほど…勉強になりました!他にもチェックされているちょっとした裏話などあれば教えてください!
遠藤:そうですね、手帳の背中部分に糊がちゃんと入っているかをチェックしています。
▲この背の部分にきちんと糊が入っていないと、使っているうちに紙が浮いてきてしまうとのこと。
遠藤:糊がしっかり付いていないとトンネルのようになってしまって開閉の強度が落ちてしまうんですね。なので、しっかり手帳を開いてトンネル状になっていないかをチェックしています。1年間お使いいただくものなので、開閉の強度は大切ですよね。
▲手帳を思いっきり開いてトンネル状になってしまっていないかをチェック。
―――ありがとうございます。人数もかけて細かく検品されているようですが、なかなか大変ですよね。ここまでしなくても…なんて思ったりしたのですが、検品を徹底されている理由は何なのでしょうか?
遠藤:実は私が入社したころは今ほど精度も高くなく、乱丁・落丁もあれば表紙カバーの箔押しデザインが歪んでいたりと、今では驚くようなミスも多かったんです。それをひとつひとつ着実に改善し積み重ねていくことで、今ではほとんど検品時にはじく商品もなくなりました。次年度には同じ不良が起きていないかという視点で積み重ねてきたので、冒頭にお見せしたチェックシートはその積み重ねの賜物ですね(笑)
―――そうなんですね。長年のノウハウがあのチェックシートに蓄積されているんですね。
遠藤:協力工場からは、JMAMの品質基準を守ることは厳しいと言われることもあります。不良品が出たら交換で対応するところも多いみたいなんですが、ここまで厳しいのは…と愚痴られることもあります(笑)ただ、JMAMのこだわりを分かって一緒に作っていただいている工場ばかりなので、最終的にはお互い良い信頼関係で手帳づくりが出来ていると思っています。
―――なぜそこまで事前の管理を徹底されているのでしょうか。
遠藤:やはりお客様との信頼関係ですよね。もちろん不良品を交換対応すればそれで済むかもしれませんが、そういったケースが多いとブランドとしての信頼感が薄れちゃいますよね。安心して信頼して使っていただける商品を作りたいという想いで、手帳をお届けしています。
―――検品から品質のこだわりまで…ありがとうございました。手帳づくりに携わるみなさんの信念が聞けた気がします。ちなみになんですが、最後に、そんな遠藤さんが愛用されている手帳を教えてください!
遠藤:NOLTYのリスティ1です!私はリスティが誕生してからずっとこれを愛用しています。気に入っている部分としては、サイズと方眼ですね。大きすぎず小さすぎずの手になじむサイズ感と、字がきれいに見える(気がする)方眼のレイアウトが好きです。そしてスケジュールが管理しやすいバーチカルタイプ。月間ページをプライベート、週間ページを仕事として使用しています。ノートを別で持ちたくないので、リスティ1冊になんでも書き込んでいます。週間ページの左側と下側のメモスペースでは足りずに、土日のスペースもメモに使っています。
~編集後記~
信頼して使っていただけるよう管理を徹底し、さらに使い勝手まで考慮した細かなチェックに驚き、こんな細かい仕事自分にはできない…とぼやく事務局メンバーもいました(笑)手帳が製造開始されるまでのこだわりを垣間見た取材となりました。
実際に、検品された手帳をお使いいただくのはまだ少し先ですが、そろそろ来年の手帳たちが出荷されます!みなさんぜひお近くの文具店や書店などで、2023年度の手帳たちが並び始めるのを楽しみにしてくださいね~!早いお店で8月から順次店頭に並び始めると思います!見かけた際は、今回の記事をちょっとでも思い出していただければ幸いです!
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