時間〈とき〉ラボ運営事務局 さん
「わたしと書くこと」では、手帳やノートなど“書くこと”で、時間〈とき〉をデザインしている方・実現しようとしている方にお話を伺い、書くことの意味や書くことでの変化などをご紹介していきます。
今回のゲストは、前回に引き続き、侍ジャパン社会人代表の主将を5年務めた元東芝野球部主将・佐藤旭さん。現在は営業の仕事に従事しながら、ご自身の野球経験を発信する活動をされています。大学時代より手帳を使われており、活躍の場を変えられた今も手帳愛用者の佐藤さんにお話を伺ってきました。前回は佐藤さんと“書くこと”との出会いや野球との関係性を伺いました。今回は、社会人野球侍ジャパン・東芝の主将時代、書くことで得たことを、新たなステージでどう活かされているのか、について伺います。
どちらかというと、学生時代の手帳はキャプテンとして感じたことやチームへの想いなどを書く日記的な使い方をすることが多かったんですが、社会人1年目からは予定を書き込むなど、いわゆる一般的な手帳としての使い方をしていました。当時はポケットサイズのマンスリー手帳で、書きにくいなと思っていたんですが、僕の父が高校の教師をしていて、ある時、方眼紙が書きやすいというアドバイスをもらいました。その影響もあって、方眼紙で使いやすいNOLTYの手帳はマッチしましたね。
▲お父様のアドバイス通り、方眼タイプの「NOLTY ビジネスベーシックダイアリー」をチョイス。字も書き方も綺麗です…!
とはいえ、最初は手帳の使い方がわからなくて(笑)。ネットで調べたり、使い方を解説した冊子を参考にしたり…まずはマネするところから始めたんです。その当時は週ごとに自分の今の力や精神状態を書いていました。PDCAも手帳の中身に沿って書き込んでいましたが、自分の中で明確に「こうしたい」というものが見えてからは書き方を工夫してみたりしました。
あと、マンスリー手帳からウィークリーの時間軸の入った手帳を使い始めて、1日の中でどういう時間の使い方をして、効率よくどう過ごせるかっていうのを、より考えるようになりました。自分の目標はここで、いつまでにこうなって、1年後、半年後、1カ月後、1週間、1日っていうので、逆算しやすくなりましたね。
また、手帳でPDCAに触れたことで、野球ノートにもPDCAを活用し始めました。そうすることで、野球においても準備や振り返りがより具体的にできるようになり、自分の感覚を整理できるようになりました。社会人野球でもキャプテンを経験し、継続してノートを書き続けたことによって、自分の中でしかなかった感覚が言語化できるようになり、伝える言葉に引き出しが増えたことを実感できました。
▲実際に書いていた野球ノート。方眼が自分には合っていると思い、ノートも横罫から方眼タイプへ変更。メモ欄に独自のPDCA。圧巻です!
感覚を言語化することって意外と難しいんです。だからこそ、改めて書いて整理することは大切なんだと感じましたね。
そして、目標を毎日書くことで自分が何を取り組むべきなのか、何に取り組もうとしているのかが明確になりました。目標について考えるということは、同時に現状の自分について考えることになるので、翌日への準備や振り返りが濃い内容になっていくのを実感できました。野球ノートで培ったことは現在の仕事でも活きていると思います。
営業の仕事を初めてからも、書き方自体は基本的にはあまり変えてないです。野球をやっているときは、自分の感じたことを一言書くような感じで、今は新しく知る仕事の知識が多いので、毎日何をやったか記録しています。現在は仕事オンリーの手帳と、仕事とプライベートごちゃまぜになっている手帳の2冊使いです!
▲プライベートな内容は赤ペンで記入。見返しやすく、仕事とプライベートの分け方もわかりやすい佐藤さんの手帳。
ちなみに仕事オンリーの手帳には、先輩方にその週に教えてもらったことをメモしています。書類が入っている場所やデータが入っているフォルダの場所も勉強中なんです。なので、行動を全部メモしたり、わからない言葉を教えてもらったら記録したり…。もちろん、会議などの予定も書き込んでいます。書く量が多いから、ポイントはその日に起きたことを時間と紐づけて書きやすいスペースに書くことです。
少し前に、スポーツ選手のセカンドキャリアに関するコンサルティングをしている方とお会いする機会がありました。それまでは、今の仕事に慣れることに必死で、手帳に書く内容も仕事一色だったんです。でも、手帳を振り返って見てみると、その新しい出会いから「今の仕事をしながら野球に関わる」という新しい目標のようなものが生まれて、書く内容が変わってきたなぁという印象です。ちょっとした夢を書き込むページ、というか。
例えば、「コミュニケーションスキルの引き出しを増やしたい」といった具体的なことを書き始めています。そうすると、「自分はこういうことを面白いと思っているんだ」って自覚できるんですよね。これは文字に起こしてないと、おそらく気付かないんです。一瞬思ったとしても忘れちゃう。強い想いにまで根付かないんじゃないかなって。書くことで自覚的になって、将来の自分のことをよりイメージできるようになると思います。
~編集後記~
佐藤さんのお話を伺い、振り返りの質がチーム内でのコミュニケーションの質を変え、個人のパフォーマンスやチームプレーの質も高まるということが実証された気がしました。主将という立場で会得された分析力とコミュニケーション力は社会人になった今、そして未来の夢でどう活かされていくのか、佐藤さんのこれからの未来を応援したい気持ちでいっぱいです!
佐藤さんの前編の記事はコチラ→【 #5 前編 佐藤旭さん 振り返り、よりよい未来を創り出すために書く 】
じゅり さん
コミュニケーションと書くことってかけ離れている気がしてましたが、佐藤さんのように活用することでコミュニケーションの濃さを高めることができるんだなと学びになりました。