【 #5 前編 佐藤旭さん  振り返り、よりよい未来を創り出すために書く 】

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「わたしと書くこと」では、手帳やノートなど“書くこと”で、時間〈とき〉をデザインしている方・実現しようとしている方にお話を伺い、書くことの意味や書くことでの変化などをご紹介していきます。

 

今回のゲストは、小学生のときから野球を始め、侍ジャパン社会人日本代表の主将を5年務めた元東芝野球部主将・佐藤旭さん。現在は営業の仕事に従事しながら、ご自身が野球を通じて得た様々な経験を発信する活動をされています。学生時代からチームメイトとのコミュニケーションに重きを置いて、そのために書くことを大切にしてきたという佐藤さん。全2回にわたってお送りします!前編では、学生時代から大切にしてきたコミュニケーションと書くことの関係について掘り下げていきます。

 


チームへの貢献のため始めた“書くということ”



自発的にノートを買って書き始めたのは、大学4年で野球部のキャプテンを務めたときです。小学生の頃、野球ノートというものがありましたが、フォーマットに練習内容や平日にしたことを書いて土日に提出という決まったものだったので、当時は宿題のような感覚でした。書くことの重要性に気付いたのは大学4年生でキャプテンになったときのことです。



キャプテンになったことで発言する機会がすごく増えました。毎日「伝えたい」と感じることもあるので、喋る内容があまり被らないようにしようと思っていたんです。でも、振り返ると結果的に同じことを言っていることが多いと気付きました。自分が言ったことを自分で振り返れるようにしないと、と思ったことが書き始めたきっかけのひとつです。


チームの状態に合わせた声掛けができますし、この先、自分が集団や組織での野球人生が終わったあと、別のフィールドで生きていかなきゃいけないときに、何か役に立つんじゃないかという考えもありました。



書くことはとても大切なことだと少年野球の頃から教わってきましたが、本当に自発的に「やらなきゃ」と思ったのはそこがきっかけです。だからこそ、選手として長くプレーができたんだと考えています。


また、キャプテンになったことで、自分は結構考え込むだろうと思いました。落ち込んじゃったり、必要以上にストレスを溜め込んだりする気がしたので、発散するところを求めていました。どちらかというとネガティブなんですよね(笑)。書くことは好きだったので、文字に起こせば10あったストレスが、6とか5とかになってくれるんじゃないかなと。




コミュニケーションが大切。そのために“書くこと”が欠かせない


野球はチームプレーのスポーツです。キャプテンとして、自分から部員のみんなとたくさんコミュニケーションを取る機会を作っていました。コミュニケーションの質で、チームと個人のパフォーマンスは上げられると思っています。


▲キャプテン時、春のリーグ戦では優勝!


大学時代、下級生の頃はなかなか上級生に話かけることができなかったんです。上級生ってすごく威厳があり、憧れがあったんですよね。だからこそ、4年生から何か声を掛けてもらえたときって、些細な事でもすごい嬉しいんですよね。自分も1年生のときにその経験があって、すごく嬉しかったのを覚えていて。部員に声を掛けること、部員から声を掛けられること…この言葉のキャッチボールが僕にとっても、野球部にとっても、すごく大事なんだと気付いたんです。


部員が200人ぐらいいたのですが、なかなか部員同士でコミュニケーションを取れる時間が少ないんですよね。そうすると選手同士の想いを知ることができない。これはすごくもったいないことだと思ったんです。チームで戦う中で選手同士の想いを共有することってすごく大事だと思い、キャプテンとして選手1人1人とのコミュニケーションを重要視しましたね。1人1人とコミュニケーションを取ることで選手同士の想いを知り、チームに一体感が生まれるのを肌で感じることができました。


コミュニケーションの質によって信頼関係を築けることや選手1人1人のモチベーションやパフォーマンスを上げる力がコミュニケーションにはあるという重要性に気付けた部分も大きいですね。


▲相手の目を真っすぐ見て話す様子に、コミュニケーションを大切にされてきた経験を感じました。




直感や感覚を言語化することで、コミュニケーション能力の向上へ


大学卒業後、ご縁があり、東芝の社会人野球チームでプレーすることになり、ノートではなく手帳を使うようになりました。はじめは予定を入れていたのですが、2017年より社会人野球の侍ジャパンの主将を任される様になり、その日の振り返りなども自己流で手帳に書き始めるようになりました。


▲手帳は時間軸で書くから便利。いつの出来事や感想なのかを思い出しながら振り返ることができるので、手帳をよく使うようになったそうです。


手帳と向き合いはじめたとき、どんなことを書くか考えました。そのとき、昔から自分の感覚や直感をすごく大切にしていることに気付きました。感覚や直感って自分にしかわからないものだけど、自分を一番助けてくれるものだと信じているので。そういう感覚や直感を忘れないよう、きちんと言語化し、意識付けすることを心掛けるようになりましたね。


もう1つ。僕は、練習の前と後に喋る一言と感じたことを毎日書き続けました。個人やチーム、それぞれにどういう声掛けをしたら良い影響になるのか理解したかったんです。野球って、技術に関するコーチはたくさんいてくれるんですが、コミュニケーションのコーチングってまだ一般的ではなくて。自分で研究して質を向上させていくしかありませんでした。


▲この手帳が毎日練習前と練習後に話した内容を記していたキャプテン用の手帳。佐藤さんが使っていた手帳は1ページ2日タイプの「NOLTY メモリー3」。その日に感じたことなどを極力言語化。振り返りをしたときに、自分はもちろん、自分以外の人にも伝わるようにを意識して書かれています。




振り返りの質を高めることがコミュニケーションの質の向上につながる


ずっと自己流で書いていたのですが、2020年に【成長が実感できるビジネス手帳】というコピーの「NOLTY ビジネスベーシックダイアリー」を使い始めたのをきっかけに、手帳に付いている冊子(「PDCA実践!手帳活用術」)を参考にするようになりました。目標を立てるタイミングや振り返りなどを細かく書き始めるようになったのも、それがきっかけです。


すると、書くことが今までと変わってきました。野球というスポーツは失敗の積み重ねを続けていく「失敗のスポーツ」なんです。失敗した理由や成功した理由は多種多様で、「このときはあまり体調がよくなかった」「悪いと思ったけど意外と結果がよかったのは、どういう準備をしていたからなのか」など、細かい感覚と結果は書いておかないとわからなくなってしまいます。頭の中や気持ちを整理することに加えて、僕にとっては大事なポイントでした。



チームにかける言葉も、感覚的に感じたものを伝えるのではなく、自分の中できちんと分析し、言語化することで、情報がストックされていくようになりました。そうすることで自分やチームのことがよりわかるようになってきたんです。



・・・今回はここまで。次回は、侍ジャパン・東芝の主将時代、書くことで得たことを新たなステージでどう活かされているのか、について伺います!


~編集後記~

プロを目指して野球ノートを書き始めた佐藤さんにとって、“書く”という行動が日々の生活に根付き、自分自身を振り返る方法になっているのだとすごく伝わってきました。佐藤さんの野球愛とストイックさをひしひしと感じました。人と向き合い、コミュニケーションを重ね、それをストイックに書き溜める…とても真摯な姿勢に、事務局メンバーの一人が「息子を佐藤さんのような人間に育てるにはどうやったらいいんだろう…」と言い出すくらいです(笑)。書くことの魅力や奥深さ、人としての誠実な生き方に心が洗われる取材となりました。後編もお楽しみに!


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