時間〈とき〉ラボ運営事務局 さん
みなさま、こんにちは。「手帳の現場から」では、手帳の現場の“今”をお伝えします。
“刷る”工程を経た22年4月始まり手帳の用紙が、今、どんな状態なのか。気になりますよね!
というわけで、早速、現場に行きましょう!と言いたいところなのですが、コロナウイルス感染対策のため、今回も残念ながらオンラインでインタビューさせていただきました。
(2021年12月下旬にお話を伺いました)
お話を伺うのは、前回も登場いただいた「NOLTY」や「PAGEM」など約1,800種類もの手帳の印刷・製本を手がけている「株式会社新寿堂(しんじゅどう)」の二宮さんです。
▲手帳の生産管理の責任者・二宮さん。感染対策のためしっかりとマスクをして登場。
――― 二宮さん、前回の記事では「職人さんの想いを知れて嬉しい!」というお声をいただきました。
二宮さん:ありがとうございます。リアクションをいただけるのは嬉しいですね。今回もよろしくお願いします。
――― 前回は印刷工程(リンク:https://toki-labo.fun/article/177)について伺いました。今、あのときに印刷されていた紙たちはどんな状態なのでしょうか?
二宮さん:はい、前回印刷された紙は、4月始まりの手帳としてほとんど製本され、カバーとセットされて95%が手帳になっています。
――――前回のお話でも、12月中にはカバーと製本した中身をセットして、年末にその工程が終わる、とお話されていましたよね。ところで 製本とはどういう状態を指すのでしょうか?
二宮さん:製本とは印刷した紙を断裁し、規定のサイズに折りたたんで、順序通りに重ねあわせて、糊や糸などで繋げ、内表紙をつけて、本の状態にする一連の工程のことを言います。
▲製本した中身と外のカバー部分を手でくるんでいる様子。手でくるむ製造方法はNOLTYの中でも「能率手帳」シリーズのみの特殊な製法。1日で大体4,000冊ぐらいを手作業で行います。
――― なるほど。製本工程にも新寿堂さんの職人技が光っていると思いますが、この時期の製本工程で気を付けたことがあれば教えてください。
二宮さん:年中気をつけているのですが、印刷工程を含め、ズレは常に繊細な目配りが必要です。どのサイズの手帳も1ミリでもズレていたら違和感があります。人の目で見てズレを感じないようにオペレーターが定期的に目で見てチェックしているんです。
▲紙の裁断時も0.2mmのトンボ線を断裁機でカット。グレーの帯線が揃っているのは、ズレなくカットされている証です。
――― 本とは違って左右が罫線で繋がっているから、ズレには敏感になりますよね。
二宮さん:日によっては紙が湿気でふくらんでしまうこともあるので、工程によっては、次工程の寸前で断裁したり、再度断裁するなどして、ズレがないように微調整を繰り返しています。
――― 紙って本当に繊細なんですね…。製本工程で他にも気候や時期に左右されることってあるんですか?
二宮さん:手帳の見返しと言われる紙と本文を接着した上で紙の表紙をくるむ工程があるんですが、この糊は気温や湿気などに影響を受けます。今は糊が乾きやすい時期なので、少し水分量多くしていますね。湿気があるときには水分をちょっと少な目にして。ベテランオペレーターの腕の見せ所です。
▲糊をつけるのは見返しと本文の接着、またそれを紙の表紙にくるむ工程があります。
―――新寿堂が作る手帳が開きやすかったり、表紙を開いても中の紙がズレなかったりするのは、製本工程のレベルが高いからでしょうか?
二宮さん:そうですね、糊もつけすぎると手帳が開きにくくなってしまうので微妙な調整が必要です。細かい調整をするのは人間なので、ベテランのオペレーターが毎日のように調整しています。
▲新寿堂が作る手帳は表紙を開いても印刷がきれいに揃っているのが特徴です。中のページでは、線や数字の印刷が同じところに来るように調整されています(写真の手帳は「NOLTY エクリB6」シリーズ)。
▲中ページの端の部分は段差なく、どのページもきれいに揃えています。小さなところにも美しさを大切にしています。
―――ところで12月にセット完了したら、あとは1月に出荷するだけなのでしょうか?
二宮さん:これがね、出荷する前に大切なことがあるんです。まさにそれが明日行われるんです。
―――何が行われるんですか・・・?
二宮さん:12月中にセットし完成した手帳の最終チェックでJMAMの検収作業があります。新寿堂でも検査をしていますが、販売する側でもさらにチェックをしているんです。ここでの細かい指摘事項もあるので気は抜けないですね(笑)。
――― た、たしかに…!検品後、無事1月に出荷できたら、一息つけるんでしょうか?
二宮さん:これがね・・・つけません!(笑)年明けの1月からは現在販売中のNOLTYnotebookの生産や2023年1月始まり手帳の進行が始まります!
▲手帳品質のノートとして好評の「NOLTY notebook」シリーズ。
―――2023年1月始まり手帳の進行がもうスタートですか?!私たちは2022年1月始まりを使い始めたばかりなのに・・・手帳の製造時期はとっても早いのですね。これから2023年1月始まり手帳の進行で気を付けられる部分などありますか?
二宮さん:引き続きのコロナ対策でしょうか。幸い感染者は未だゼロで、関連会社さんを含め、少しでも体調不良の方が出たら大事をとって休んでもらうなどかなり徹底してきました。その分、工程によっては遅れも生じましたけど、みんなでリカバリーして無事、22年4月始まり手帳も間に合いそうでホッとしています。
――― 感染者が未だゼロで本当によかったです!新寿堂のみなさんが品質にも感染対策にも心配りの末に完成した2022年4月始まり手帳がいよいよ店頭に並ぶんですね!
二宮さん:そうです。4月はじまりの手帳は2月上旬から店頭に並ぶので、1月は納品に向けてラストスパート。新寿堂の職人たちが機械と技術と経験を駆使して作った手帳を、ぜひお手元で楽しんでいただきたいですね。
インタビュー翌日の検品の様子をお届けします!
セットが完成した手帳をランダムでピックし、人の手で丁寧に検品が行われます。最後まで人が目で見て仕上げた高品質で美しい手帳をみなさまのお手元にお届けしています!
職人さんが機械を調整し、目で見て、ときには手作業で行う手帳づくりが終盤を迎えてました。製作の裏側を知った今、2月に店頭で手帳を見たら、なんだか、ようやく会えたような…そんな感動の対面になりそうです。時間〈とき〉ラボメンバーのみなさん、ぜひぜひ楽しみにしていてください!
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じゅり さん
NOLTYを使ってますが、記事に書いてあったとおり、開いてみるとページの端がきれいにそろっててびっくりしました!他のメーカーさんの手帳も同じように開いてみましたが、ちょっとばらつきがありました。気づかないところまでこだわれる?気を配れるって人も手帳も素敵だなと思いました。
時間〈とき〉ラボ運営事務局 さん
>じゅりさん
ありがとうございます😊細かい部分ですが、美意識を大切にしています✨