【西口理恵子さん 大切な人と大切な時間を過ごすための「時間整理」】

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「わたしの時間〈とき〉デザイン」では、時間〈とき〉をデザインしている方の取り組みや考え方、ライフスタイルのMyルールなどをご紹介していきます。

 

第8回目のゲストは、宅地建物取引士とインテリアコーディネーターの資格を活かし「整理収納アドバイザー」としてテレビや雑誌で活躍する西口理恵子さん。2017年からは毎年11月に「時間整理セミナー」を実施されており、100席の座席は毎回満席になるほどの人気。そんな西口さんの「時間〈とき〉デザイン」を紐解いていきます。


※西口さんの「わたしと書くこと」はコチラ

 

 


時間を意識しはじめた多忙と家族との別れ

 

人の平均寿命の83歳で考えると、人生って3万日しかないんです。このように考えるようになったきっかけは、目まぐるしいほどの多忙な時期を経験したこと、そして、父が亡くなったことでした。

 

  

私の父は整理収納が好きだったんです。他界する前、1週間で自分で持ち物を整えていました。少しだけ残ったものも、亡くなった後にどうすればいいのか、付箋をつけて指示が書いてあったほどです。車の廃車のことから、生前お世話になった方の連絡先まで。いわゆる遺品整理って、残された家族がすごく時間をかけて行ったりするものだと思うんですが、生前に整理しておいてくれたおかげで遺品整理は忌引休暇の1週間以内に全て終わり、余った休暇で父の大切な人に会いにいくゆとりを持てたほどでした。全てをスッキリさせてくれたことは、つまり「父から時間をプレゼントしてもらった」、と受け止めることができたんです。

 


その頃は、多忙な不動産会社で営業をする傍ら、休日にインテリアコーディネーターの資格の勉強もしていたからものすごく忙しかったんです。

 

▲当時の手帳には、28才にしたいコトの1つに「IC取得(インテリアコーディネーター取得」という目標が。

 


 インテリアコーディネーターの資格取得後、父が62歳で亡くなったので「自分にはあと何年あるんだろう」「人生って1回きりなんだ」って強烈に意識した経験も踏まえて、人生の総時間を出したりして時間を“整理”して考えるようになりましたね。



なぜ時間“管理“ではなく”整理“かというと、少ない時間でたくさんのことをするための”管理“ではなく、不必要なコトを取り除いていく”整理“の方が私に合っている、と感じたためです。


▲超多忙な西口さんは、当時お客さまへのお手紙をきれいに書きたいという思いから、なんとペン習字を習っていたとのこと。その練習した後が手帳の右下に。突き詰める性格だからこそ「時間はつくりだすもの」と考えているそうです。


 

手帳は「時間整理」に欠かせない存在

 

「時間を整理する」と考えているからこそ、手帳の存在が大切です。バーチカル部分を自分なりに区切って、体調や悩みや感情を書いたり、時間管理の中にToDoリストを合体させてみたり。他のところに書いてもいいんですけど、私は手帳に書かないとやらないので全部集約させています。


▲西口さんのすべてが詰まった手帳。手帳の最後のページには、この年に自分の理想とする1日のスケジュールや、なりたい自分を記載されていらっしゃいました。1年間、このページを見て、1日1日意識して過ごされるそうです。

 

 

私の「時間整理」のポイントは、30分1枠で考えることです。30分以上かかる仕事は2時間までにして、1日に2個までしか入れません。集中力が30分しか続かないとか、自分が一番集中できる時間に大きな仕事に着手するなど…自分の性格を時間整理に活かしているんです。

 

▲お子さんがいない時間帯に枠を書いて、仕事に集中する時間を視覚化しながら毎日の時間を整理するなど工夫がされています。

 

 

 

「ヒュッゲ」との出会いが力を抜いてくれた

 

忙しくしている私ですが、デンマークの独自の習慣である「ヒュッゲ」に共感しています。元々は「ほっこりと暖かい気持ちになれる時間、空間」を表す言葉だそうです。デンマークでは働き方にその考えが浸透していて、「休みを取ることの方が大切」って言われているんですよ。それに影響を受けて、ひとりで2時間喫茶店に行ってみたり、絶対に携帯を見ない時間をつくるといったマイルールを決めるって手帳に決意表明を書いてみたりしています。そもそもヒュッゲも、どこかで言葉だけ聞いてとりあえず手帳に書き留めたんです。意味をあとで調べようと思って。


 

子どもが生まれるまでは、整理収納が完璧だったんです。端から端までシンデレラフィットにしたかったし、ラベルの文字も字体とサイズを統一しないと気が済まなかった。ものすごく「とらわれていた」けど、子どもがいたらそんなこと言ってられなくなったんです。元々、夫と子どもとの時間は以前から大切にしてきましたけど、無我夢中だった30代から40代になっていい感じに力が抜けてきた気がしています。

 

▲現在の西口さんの手帳。こちらは数か月後の子どもの長期休みのページ。子どもの長期休みは仕事はできるだけ入れないように、写真のように先に家族との予定でブロックしておきます。大切なことはおもいっきり楽しむ。余白が多い手帳の使い方からも「時間の捉え方」が変わってきた様子が感じ取れます。

 

 

「時間整理」という考え方

 

人は場所、時間、お金の3つのゆとりができると、4つめのゆとりである「心のゆとり」ができると私の本でお伝えしていて、さらにその本の中では「この中で一番大事なのは時間」とも言ってるんです。私は整理収納アドバイザーだから、セミナーでは整理収納の話をします。でも、語弊を恐れずに言えば「物」なんてどうだっていいんですよ。物よりも時間の方が大切なんです。私は、セミナーに来てくださる皆さんが自分のために「時間」を使えるように整理収納術をお教えしてるんです。

 

▲手帳にすべてを「整理」している西口さん。西口さんの頭の中がそのまま反映されているようです。

 

 人は1日12分探し物をしているって言われてるんですけど、1年間で考えると73時間にもなるんですよ。それって映画で換算したら30本くらいになる。だったら、探し物で悩んでいる時間で物にとらわれるよりも、自分がしたいことに時間を使う方がいい。その方が整理収納する意味になるって思っています。

 

▲これまでの手帳をすべて保管している西口さん。時間もご自身の想いも大切にされているのが伝わってきます

 

 

整理収納はやらなくても生きていけるかもしれない。その代わり、やったら時間のゆとりが生まれます。「時間整理」という考え方をセミナーでお話していますが、そうして子どもと過ごす時間とか、自分がしたい信念を貫くための勉強をするとか、そういうことに時間を使ってほしい、自分らしく過ごしてほしいというのが私の想いです。


 

~~編集後記~~~

「西口さんにとってこの“私らしさ”ってどういうことですか?」と質問したところ「笑う門には福来るかな。そう言い聞かせてます。「先笑っとこかな」って感じです。いっぱい怒るし、怒ることの方が多いけど、「先笑って幸せ呼びましょうか」っていうことかなって思います」と軽快な関西弁で、まさに明るく笑顔で答えてくださいました。辛い出来事や高い目標に立ち向かう姿はとてもパワフルですが、その後ろにあるご家族への愛情や幸福を大切にする温かさが、西口さんの人を惹きつける魅力に感じる取材となりました。

 


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西口理恵子さん

整理収納アドバイザー、インタリアコーディネーター。「モノの整理は、心の整理。」そのお手伝いをしたいとの思いから、「美人収納®」で、住まいと人生を美しくするお手伝いをと、セミナー講師やコーディネート、コンサル、商品開発を行う。2児の母でもある。

著書「ずっと美しく暮らす シンプル収納の家づくり」。

Blog「1日1収納

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