時間〈とき〉ラボ運営事務局 さん

「わたしの時間〈とき〉デザイン」では、時間〈とき〉をデザインしている方の取り組みや考え方、ライフスタイルの「Myルール」などを紹介します。
今回お話を伺ったのは、高校生活の中で手帳を使いこなし、自分なりのスタイルを見つけてきたハヤシさん。

実は今回の取材は、NOLTYプランナーズが主催する「手帳甲子園」において、2025年度の紀伊國屋賞を受賞されていたことがひとつのきっかけでした。お話をしてみると、手帳を使い続ける中で、自分なりの向き合い方を育ててきた様子が印象的でした。
タイミングよくお話を伺う機会をいただき、等身大の手帳との向き合い方についてお聞きしました。
予定管理のためだけではなく、授業の振り返りやその時の気持ちの記録、そして未来の自分を支えるための存在として手帳を使う。お話の中には手帳との向き合い方のヒントになる視点が詰まっていました。
——手帳を始めた理由やきっかけについて教えてください。
高校に入学したときに、プレミアコース(※難関大学進学コース)の生徒全員に手帳が配られたのがきっかけです。なので、明確に始めたタイミングとしてはそのときですね。
でも、自分の中では、ただ配られたから始めたというより、もともと手帳に興味がありました。学校のことを調べていたときに、時間管理をするために手帳を使う学校なんだと知って、「どういう学校なんだろう」と気になったんです。
私はもともと時間の使い方に少し苦手意識があって、休日を何も決めずに過ごしてしまったり、そのまま流されるように時間を使ってしまったりすることがあったので、そこを変えたいなと思っていました。だから、手帳をもらったことがきっかけではあるけれど、「自分を変えたい」という気持ちが大きかったと思います。
——最初は、どんなふうに手帳を書いていたのでしょうか。
最初はやっぱり、「何を書いたらいいんだろう」と思っていました。手帳って、予定だけ書けばいいのか、それとももっといろいろ書いていいのか、その感覚が最初はわからなかったです。
でも、書いていくうちに、授業の内容や、その日の振り返りをたくさん書くようになっていきました。いっぱい書けば書くほど、「今日はこういうことがあったな」と振り返りやすくなるし、目標も立てやすくなるんです。
びっしり書くことで、その日のことをちゃんと自分の中に残せる感じがして。予定を確認するためだけじゃなくて、1日を振り返って残しておくための場所になっていきました。

▲現在の手帳の使い方(週間バーチカルタイプ)。1日の時間軸に先に行動予定を書いておき、実際にどんなことをしていたのかを、その隣に記入して1日ごと振り返っています。下部のメモにはその日の出来事や感情など、振り返りのコメントが書かれています。
——手帳の使い方で、参考になったものはありましたか。
ありました。使い始めの頃に見た先輩の手帳です。特に成績上位の先輩の手帳の書き方が印象に残っていて、「いわゆるトップの人の手帳って、こんなふうに違うんだ」と思いました。
先生からも、そういう先輩たちの手帳の使い方が参考になるという話があったので、見比べながら、自分なりに取り入れていきました。もちろん、みんな書き方はバラバラなんですけど、その中でも「いいな」と思う部分を吸収していった感じです。

▲先生から配布された先輩の手帳の書き方。丁寧に保管されていました。
——先生からのフィードバックもあると伺いました。やはり励みになりますか。
はい。すごくうれしいです。
普段の学校生活の中では、先生が自分のことを見ているという実感って、意外と持ちにくいんです。でも、手帳にひとことでもコメントがあると、「ちゃんと見てくれているんだな」と感じられます。
指摘でも、励ましでも、何か反応があること自体がうれしくて。そうすると、「もっと頑張ろう」と思えますし、学校生活の中で手帳を書く意味も深くなる気がします。

——手帳甲子園への出場や受賞を経て、気持ちの変化はありましたか。
ありました。受賞したこと自体もうれしかったですし、自信がついたことも大きくて、手帳をもっとラフに使えるようになりました。
それまでは、どうしても「こう書かなきゃ」「この形が正しいのかな」と、形にこだわる気持ちがありました。でも、賞を取ることだけがゴールじゃないと思ったんです。手帳を使う目的は、うまく見せることではなくて、自分のために使うことなので。
それに気づいてからは、前よりもずっと楽しくなりました。きれいに書くことや正解の形に縛られすぎず、自分に合うように使えばいいんだと思えるようになりました。

——手帳を書き続けることで、ご自身の中にどんな変化を感じていますか。
すごく変わったと思います。
手帳って、自分がやったことが全部出る場所なんです。だから、見返すと「また同じことを繰り返してるな」とか、「こういうときに自分はこうなりやすいんだな」とか、自分のクセに気づけます。
先生から普段言われていることともつながるんですけど、書いてあるとよりはっきり見えるんですよね。頭の中だけで考えていると流れてしまうことも、手帳に残っていると、自分の行動や考え方を客観的に見られるようになります。

——プレゼンの中で「私が私を支えてくれる」という言葉があったのも印象的でした。
はい。過去の自分の記録に、助けられることがあるんです。
落ち込んだときに見返すと、「あ、大丈夫かも」と思えたり、未来の自分が過去の自分からエールをもらっているような感じがしたりします。逆に、気持ちを落ち着かせたいときにも見返します。
手帳って、ただ予定を書くものじゃなくて、自分を支えてくれる存在にもなるんだと思います。
——最後に、ご自身にとって手帳とはどんな存在か、感じている手帳の魅力があれば教えてください。
手帳は、いいサポーターでもあるし、ときには厳しいことを言ってくれる存在でもあると思っています。見返すと、自分にとって本当のことが書いてあるので、ごまかせないんです。でも、だからこそ支えてくれるんだと思います。
それから、手帳のいちばんの魅力は、「忘れないこと」だと思います。
今のことですら忘れてしまうのに、年齢を重ねたらもっと細かいことは忘れてしまうかもしれません。でも、その一瞬の大切な出来事や、そのときの気持ちを残しておけるのが手帳のすごさだと思います。
時間管理のために使うのももちろんいいと思います。でもそれだけじゃなくて、1日の中の細かい出来事でもいいから書いて残しておくこと。それが、あとから見たときにすごく大事なものになるんじゃないかなと思います。
―編集後記―
メンバーのみなさんの中にも、誰かに見せるためではなくても、「見てもらえるとうれしい」と感じる方は多いのではないでしょうか。手帳は自分のためのものですが、誰かとの小さなやり取りが、続ける力になることもあるのだと思います。
手帳の使い方に、正解はありません。たくさん書くのも、シンプルに使うのも、自分にとって続けやすい形なら、それがきっとその人にとっての正解ではないでしょうか。
今日の気持ちや忘れたくない出来事を少しだけ書き留めてみませんか。未来の自分を支えてくれる1行が、そこに残るかもしれません。

「手帳甲子園」は、NOLTYプランナーズが展開する中高生向け成長支援サービス「NOLTYスコラ」を活用している中学生・高校生が、自分の手帳の使い方や、その中で得た学び・成長を発表する大会です。全国の生徒や先生、企業人が集まり、手帳というツールを通じて、時間や習慣、思考や心を整えながら成長していく姿を応援する場として開催されています。
「NOLTYスコラ」は、中学生・高校生に向けて設計された手帳・プログラムで、時間割や授業ごとのメモを書き込みやすいレイアウトに加え、予定と実績を見比べやすい予実線、週ごとの目標設定や振り返り欄などが特長です。学習習慣や生活習慣を整えながら、PDCAの考え方や、自ら学び、考え、行動する力を育てることを目指してつくられています。なお、手帳甲子園で使用されているのも、このNOLTYスコラです。
ハヤシさんが取り組んできたように、NOLTYスコラの手帳は、予定管理だけでなく、授業の振り返りや日々の気づき、自分自身との対話を積み重ねていくためのツールでもあります。そうした一人ひとりの工夫や成長の過程に光を当てる場として、手帳甲子園は続けられています。
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