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手帳は、人生をうまく回す「最高の道具」。 宮崎じゅんさんが教える、10年先の未来をデザインする手帳活用術

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「わたしの時間〈とき〉デザイン」では、時間〈とき〉をデザインしている方の取り組みや考え方、ライフスタイルの「Myルール」などを紹介します。


「手帳は、自分の人生をうまく回すための道具です」そう語るのは、手帳活用プランナーであり、一般社団法人日本手帳クリエイター協会・代表理事を務める宮崎じゅんさん。普段は会社員として人事・総務の業務に従事する宮崎さんにとって、多忙な三つの顔を両立させ、日々を支えるのに欠かせないパートナーが「手帳」だといいます。


宮崎さんが提案するのは、日々の感情を可視化し、自分を客観的に俯瞰するための「感情の記録」。今回は、宮崎さんが考案したメソッドや、心地よい「ニュートラルな自分」でいるための手帳との向き合い方について伺いました。

 

▲一般社団法人日本手帳クリエイター協会 代表理事/手帳活用プランナー 宮崎じゅんさん



行動を管理する「母艦」手帳と、感情を記録する手帳。2冊の使い分けが心の平穏を生む


——宮崎さんが現在使用している手帳についてお聞かせください。


現在は、役割の異なる2冊の手帳を併用しています。1冊目は、スケジュールや行動を管理するための「母艦」となる手帳です。ここには、自身でプロデュースしたオリジナル手帳「maketimeplanner」を使用しています。もう1冊は「感情を記録するための手帳」で、B6スリムサイズの週間レフトタイプを選んでいます。


2冊に分けている大きな理由は、行動と感情を1つの手帳にまとめると、情報が煩雑になってしまうからです。タスクや予定を書き込む「母艦」に、その時々の思考や揺れ動く感情まで詰め込んでしまうと、どうしても収拾がつかなくなります。あえて切り離すことで、それぞれの役割が明確になりました。


以前はノートに感情を書き留めていた時期もありましたが、次第に「行動の記録」と「感情の記録」をリンクさせたいと考えるようになりました。2冊を日付で紐づけて振り返ることで、「この日はこのタスクがあったから、こんなふうに感じていたのだな」と、当時の状況をより解像度高く、俯瞰して捉えられるようになったと感じています。

 

▲スケジュール管理をする「母艦」手帳と、感情を記録する手帳の2冊を使い分けている


——手帳の役割について、どのようにお考えですか?


「行動を変えること」にあると考えています。手帳は、ただ「書けば願いがかなう」という魔法の道具ではありません。自分自身の思考を整理し、自分自身を理解し、そして実際の行動へとつなげていくための実務的な道具です。


よく「手帳に書くことがない」という声を耳にします。ですが、実際には書くネタがないのではなく、書くべきことに「気づけていない」だけであることが多いのです。なぜ気づけないのか。それは、自分の中で「何を大切にしたいか」という基準が定まっていないからです。


もし、何を書けばいいか迷ってしまったら、まずは頭に浮かぶことをすべて書き出してみてください。「自分が何を大事にしたいか」「5年後にどうなっていたいか」といった価値観や目標、優先順位が見えてくれば、日々何を記録し、どう動くべきかが自ずと明確になっていくはずです。



認知行動療法「コラム法」を応用。感情を視覚化し、客観視する


——どのようなきっかけで、手帳に感情を記録し始めたのでしょうか?


私自身、幼い頃から感情の起伏が激しく、常に「いかにニュートラルな状態でいられるか」が人生の大きな課題でした。この課題に向き合い、自分をコントロールする方法を模索した結果、たどり着いたのが「感情の視覚化」です。何かに感情を揺さぶられたとき、その中身を書き出して視覚化することで、自分を客観的な視点から見つめ直すことができます。


この手法のベースになっているのは、認知行動療法の一つである「コラム法」です。これは、自分の思考の癖や感情のパターンを明確にするためのフレームワークです。例えば、ある出来事に対して「つい悲観的に捉えてしまう」といった物事の受け止め方の傾向を浮き彫りにできます。


無意識のうちに同じ思考や行動を繰り返してしまいそうなときも、自分のパターンを把握していれば、「あ、またいつもの癖が出ているな」と一度立ち止まることができます。手帳という場で感情を可視化することは、私にとって自分を整えるための大切なプロセスなのです。


——感情を視覚化する習慣によって、どのような変化がありましたか?


感情が揺さぶられた際、自分が「何に対して、どう感じたのか」をより鮮明に意識するようになりました。もともと内省をするタイプではありましたが、書くことを通じて、自分の内面をさらに深いレベルで紐解けるようになったと感じています。


また、コーチングを学んだことも大きな転換点でした。自分自身に対して「本当はどうしたいのか」「なぜそう思うのか」といった問いを投げかけ、手帳の中で対話するようになったのです。感情をただ流すのではなく、視覚化して問いを立てる。このプロセスを繰り返すことで、自分の本音や行動の根拠を、より深く理解できるようになりました。



——記録した感情を振り返るタイミングに、おすすめはありますか?


私の場合は、あえて時間を置いて「寝かせる」ようにしています。感情を一度クールダウンさせてから、フラットな状態で振り返るのがポイントです。


もし振り返るタイミングになっても冷静になれないときは、無理に分析しようとせず、「今はまだ感情が引っ張られている」という事実だけをありのままに記録します。それもまた、大切な記録の一つです。


こうして自分の状態を俯瞰し続けることで、次第に感情を引きずる期間が短くなり、振り回されることも少なくなっていきます。自分の中に冷静な「もう一人の自分」が同居しているような感覚になってくるはずです。手帳を通じて、そうした客観的な視点を育てていくことが、何より大切だと考えています。



10年先を見据え、理想の時間を「先取り」してデザインする


——「時間〈とき〉をデザインする」ことについて、どのようにお考えですか?


先ほどもお話ししたとおり、手帳は行動を変えるための道具です。私が重視しているのは、いかに自分の人生を充実させて過ごすかで、そのために自分をどう動かすかという「人生の予実管理(予定と実績の管理)」です。理想を思い描くだけでなく、実際に予定を立てて実行し、結果を振り返りながら軌道を修正していく。この繰り返しこそが、本当の意味での「時間のデザイン」だと考えています。


私自身は、時間に追われるのではなく、時間を「先取り」したいタイプです。余裕があれば、目的に向かって先回りした行動ができますし、たとえアクシデントが発生しても、先の見通しさえ立っていれば柔軟に対応できますよね。だからこそ、常に「時間を先取りする」ことを意識しています。私の「母艦」である「maketimeplanner」に、10年先の未来まで予定を記入できる欄を設けているのも、そのためです。

 

▲宮崎さんが愛用している2冊の手帳。自ら考案した「maketimeplanner」(左)の表紙は、ヒグチユウコさんのポストカードで自分らしくカスタマイズしたもの。


——なぜ、「10年先の未来」という長いスパンを見据える必要があるのでしょうか。


10年先の自分や家族の年齢を具体的な「数字」として書き込んでみると、単なる夢がリアリティのある未来に変わります。「10年後にこうありたいなら、今はこれをすべきだ」という明確な逆算の思考が生まれるのです。


例えば、2028年にクルーズ旅行に行きたいと思ったら、その瞬間に手帳に書き込みます。そこから逆算して必要な準備や資金計画を立てて、日々の「予実管理」の中で実現に向けて調整していきます。手帳を通じて、一分一秒を「なんとなく」過ごすのではなく、自分が納得できる時間の使い道を選び取り続けていきたいですね。

 



「ジャーナリング」や「ライフログ」。記録の楽しさを、もっと多くの人へ


——今後の活動における展望や、ビジョンをお聞かせください。


私が代表理事を務める「一般社団法人日本手帳クリエイター協会」では、毎年、体験型マーケット「手帳の市」を開催しています。これまでは年に1回、秋に「手帳」を中心として開催してきましたが、2026年からは春にもイベントをスタートさせます。


春はテーマを設け「ジャーナリング」と「ライフログ」としました。予定を管理するだけでなく、ただ書くこと、ノートに向き合うことに親しんでほしい。そして「記録する」という習慣が人々の日常生活から失われることなく、これからも大切に受け継がれていってほしい。そんな願いを込めて、このテーマを選びました。


イベントを通じて「記録することの純粋な楽しさ」を感じていただき、それが手帳を使うきっかけになれば、これほどうれしいことはありません。予定管理としての手帳はもちろんのこと、ノートに思いをつづり、日常をログとして残す喜びを、これからも多くの方に提案し続けていきたいです。 

 


——宮崎さんにとって、手帳とはどのような存在ですか? 


「人生をより良く回していくための道具」です。あくまで道具ですから、それをどう生活に取り入れ、活用するかで価値がいくらでも変わると考えています。


よく「手帳を使い始めたい」というご相談をいただきます。そんなとき、私はあえて「具体的に何をしたいですか?」「手帳で何を管理したいのですか?」と問い返すようにしています。


手帳に求めるものは、人によって千差万別です。効率的な時間管理を求める人もいれば、趣味や感情、健康状態、家計などのライフログに重きを置く人もいます。大切なのは、自分が何に重きを置いているのか、その「主軸」を理解すること。そこが曖昧なままでは、手帳を自分らしく「育てる」ことはできません。


「自分は、何のためにこの一冊を開くのか」その目的を常に意識しながら、これからも手帳を人生の相棒として上手に活用していきたいですね。手帳を育て最高のパートナーにしてくださいね!

 


■ 宮崎じゅんさん・プロフィール

一般社団法人日本手帳クリエイター協会代表理事/手帳活用プランナー。建設会社の人事総務にフルタイムで従事する傍ら、手帳活用プランナーとして活動。オリジナル手帳「maketimeplanner」の開発・販売や、活用講座を主宰する。プロコーチとしての知見を活かした、手帳によるセルフコーチングや思考整理術を発信。3児の育児や親の介護という多忙な実体験から生み出された、実生活に即した時間管理と感情コントロール術は、多くのユーザーから厚い信頼を得ている。( オフィシャルサイトInstagramX


取材・執筆/宅野美穂

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