時間〈とき〉ラボ運営事務局 さん
「わたしの時間〈とき〉デザイン」では、時間〈とき〉をデザインしている方の取り組みや考え方、ライフスタイルのMyルールなどをご紹介していきます。
第4回目のゲストは、インスタグラムで暮らしを整える習慣や活動を投稿されているミニマリストのくらしさん(@kurashi___/)です。
くらしさんとの出逢いは、昨年10月に行ったときラボのプレファンミーティングでした。お話を伺うなかで手帳愛に溢れたお話だけでなく、ご自身の体験から時間〈とき〉について考えていらっしゃったのが印象的でした。
今回は、暮らしを整えようと思ったきっかけや時間〈とき〉の考え方についてお伺いしました。
私は2016年に、血液のがんと診断されました。ある日すごく子宮が痛くなって、医者で精密検査をしたのです。その結果、ステージ4のがんだと発覚しました。「2週間発見が遅かったら死んでいました」と言われたのですが、奇跡的に間に合いました。
痩せたかな?という感覚くらいだったのに、検査結果を聞いたらそのまま「家に帰れません」って言われて。そこから人生が一変しましたね。
▲入院当日の手帳のページ
会社も休職して、半年ぐらい入退院を繰り返し、治療に専念するという生活が始まりました。※完全寛解(かんぜんかんかい)が私のがんにはないので、再発のことを意識しながら毎日過ごしていますが、5年以上経ち再発していないので少しホッとしています。ただ、20年後に再発することもある病気なので、毎日を大切に生きていこう!と思いながら生活をしています。
※完全寛解…治療の結果、がんによる症状や検査での異常が見られなくなり、正常な機能が回復した状態のこと。
診察後に即入院だったので、病院に持って来て欲しい最低限のモノを彼(現在の夫)に伝え、持って来てもらいました。病室という限られた空間で生活しなくてはならなかったので、持っていきたかったけど諦めたものも多くありました。物足りないかな?と思った入院生活でしたが、そんなことは全く感じませんでした。そこで本当に必要なモノやコトはすごくシンプルなんだな……と気づけたのです。これは自分にとって大きな発見でしたね。
▲入院中もどんな暮らしがしたいのか、どんなものを食べたいのかetc. 雑誌を切り抜いて手帳に貼って、入院生活の中にもワクワクを取り入れていたそうです。
手帳は私にとって“友人”のような存在なので、病院に持って来て欲しいモノリストの中には手帳も入っていました。入院中や闘病中の不安な自分の心の心境なども全て手帳に書いていましたね。SNSに気持ちをあげることもできますが、表面上のことだけしか書けない気がして。そして何より、手書きの文字って感情が伝わってくると思ったのです。焦って書いていたり、落ち着いて書いていたり……。読み返すだけで色んな感情を思い出させてくれるのは手書きの良さだと思います。
▲入院中に過去の手帳を見直してみたり・・・
最近は毎日「自分が本当に好きなモノは何だろう?」と考えながら、断捨離をしています。好きなものに囲まれて生きていきたい!という想いが、がんになったことでより強く思うようになったから。
もともと洋服が大好きで、がんになる前はとてもたくさん持っていました。中には着ていない服もあったりして(笑)。 それで“ 整えたい”という気持ちから整理収納アドバイザーの資格を取得したんです。資格を取得してから、自分の内面と向き合うというか、思考がすっきりするようになりましたね。それで、がんになったことで「本当に自分に必要なものはなにか」と見つめ直し、断捨離もして、物も少なくした生活にシフト。手帳に書くことも前よりも整理しながら書くようになった気がします。
▲人生で叶えたいこと・大切にしたいことを1冊にまとめているノート。雑誌などから切り取った写真を貼っておくと、その事柄についてイメージがしやすいそう。常に更新されていくノートは、ひらくたびに自分と対話できる大切なツールに。
がんがきっかけで、人生が180度いい方向に変わりました。がんになる前からのんびりした性格ではありましたけど、うじうじ悩むことも多くて。でも、そんなことに時間を使ってしまったら人生損だなって思うようになったんです。がんになる前は、自分の気持ちをどこか押さえつけるような状況でがむしゃらに働いていましたが、今は自分の人生を優先して、仕事は最低限のお金を稼ぎながら楽しむために働いていて、心身共に健やかでいられるようになりました。
▲「ご家族との時間が宝物」とお話しされていた、くらしさん。家族との時間・自分の時間を大切に生きられているくらしさんはとてもキラキラしていました。
がんになったことで、大変だねって言われることもありますが、私はそうは思いません!人の目を気にするのではなく、自分の人生を優先してHappyに生きていくきっかけになったと思います。ある意味、がんになる前より心もカラダも健康的です!生活そのものが以前よりシンプルになり、本当に自分にとって大切なものに集中するための時間〈とき〉をデザインできるようになったと思います。
〜編集後記〜
がんになったときの2016年度の手帳は大切に持っているというくらしさん。がんという人によってはマイナスなことも、くらしさんは、今の素直な想いを書き、書いたことを見返して、どんな未来を生きたいのかを手帳に記していくことが、自分らしい生き方を模索する原動力になっているとお話されていました。マイナスをプラスにする力を手帳は持っているのかもしれない、とお話を伺いながら強く思いました。
くらしさん(Instagram:@kurashi___/)
じゅり さん
はじめまして。がんになったことを、このようなメディアで公表されるのはとても勇気がいることだと思います。教えていただき、ありがとうございます。生きることに感謝し、時間を大切にしていかなければと強く思いました。今後、再発されないことを祈っております。
ID00 さん
記事を読み、自分も生きていることに感謝して、今この瞬間を大事に生きようと思いました。この瞬間感じたことを全て手帳に書けたらいいのですが・・・くらしさんの生きているうちにやりたいことをまとめているノート、私も真似してみたいと思いました。今まで1年でやりたいことを意識していましたが、生きているときにやりたいことを意識していなかったので・・・はっとしました。ありがとうございます。