初心者向きの手帳用万年筆

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コメント:11件

別記事で無責任に顔料インクの水濡れ耐性を強調してしまったので,リスクのことも書こうと思って記事にしました。万年筆を使い慣れていない人に向けた内容です。

 

水濡れに強いということは,乾くと落ちないということなので,インクをこぼした時や万年筆内で乾燥させてしまったときにちょっと厄介です。

 

水性染料インク:濡れると消える=乾いた後も再度水に溶ける=水洗いで落とせる

水性顔料インク:濡れても消えない=乾いたら水に溶けない=水洗いで落ちにくい

 

私は万年筆を使うようになって15年くらい経つのですが,使い始めたばかりの頃は,いわゆるドライアップで苦労しました。ペンによっては,ちょっと使わない日が続くと,乾燥してインクが出なくなります。顔料インクを入れて大丈夫かどうかは,実際に使ってみて,ペン先の乾きにくい万年筆であるか否かを確認しなければわかりません。

 

染料インクであれば,乾いて出なくなっていても,ちょっと洗面所でペン先を濡らせば復活することも多いです。顔料インクが乾いてしまったときは,洗浄しないと快適に書けません。この万年筆は乾きやすいな,と思ったら,顔料インクは入れない方が安心です。

 

手帳用の万年筆で一番大事なのは,「書こうと思ったときに確実にインクが出る」ことだと思っています。そのために大事なのは,ペン先を乾燥させないことと,インクを切らさないことです。

 

ペン先を乾燥させないためにできること

◆ペン先が乾きにくい仕様のペンを選ぶ

◆毎日使う

 

インクを切らさないためにできること

◆インク容量の多いペンを選ぶ

◆インクカートリッジを持ち歩く

 

瓶からインクを吸い上げる使い方だと,出先でのインクの補充が難しいので,手帳用の万年筆はカートリッジにしてしまうのが楽です。

スマホのモバイルバッテリーを持って出かける感覚です。毎晩充電すればいいじゃん,と言えばそうなのですが,出先で無くなったときに備えたい・出先で無くなる不安から解放されたいという考え方もある,ということです。

 

カートリッジはメーカーごとに規格が違うので,インクを決めると必然的に万年筆のメーカーが決まります。私はセーラーの青墨・蒼墨という顔料インクが好きなので,持ち歩き用の万年筆はセーラーです。カートリッジは箱ごとだと多いので,ミントケースに3本くらい入れています。

 

1000円以下の万年筆にも良い商品はたくさんありますが,初心者の人にこそ,万年筆らしい書き味を体験できる金ペンを勧めたいです。あとは,うまくいかなくて嫌になってしまうリスクを減らすために,問題が起きにくい万年筆を選ぶといいと思います。

 

私の印象では,万年筆使用が定着しない理由の多くが,「使えなくなった」より「使わなくなった」で,その理由は「良さがわからなかったから」「不便だから」です。

だから私は,エントリーモデルも「安価」より「快適」優先で選んでいます。

 

以上を踏まえて,私が知人から訊かれたときに勧めているのは

◆国内メーカー(壊しにくい,出荷時の個体差が少ない,細く書ける)

◆ペン先が金(万年筆らしい濃淡が出しやすい,ユーザの書き癖になじみやすい)

◆価格が2万円前後(価格と性能のバランスが良い)

の万年筆です。

10年前は半額くらいだったので「思い切って1万出せばすごくいいのが買えるよ!」って言ってたんですけど,金ペンはここ最近どんどん値上がりしていますね。。。

 

上記の価格帯の国産万年筆には,そこまで繊細なつくりのものはないと思いますが,落下と紛失にはご注意ください。よく聞く大失敗はこの2つです。

 

それではたのしい万年筆ライフを!

18 件のいいねがありました。

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一つ前の記事とこちらの記事、2つでセットな感じですね。

こちらを拝見して、一つ前のトップ画像にミントケースがある理由がわかりました。

良い再利用法ですね✨

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2023.12.30

たしかに,説明のないミントケースでしたね。(手帳表紙に名入れしているので,上に何かを乗せたかったのです。)自分にとっては文具になってしまっていて気づきませんでした!うっかりです。。。


先の記事を投稿してすぐ,誰かの新品の万年筆が顔料インクでパリパリになっちゃったらどうしよう,と不安になって連日投稿しちゃいました。両方読んでくださってうれしいです。いつもコメントありがとうございます!

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2023.12.30

憧れの万年筆ライフ・・・☆””

万年筆に憧れている私に、とても判りやすい内容でした(^^)

何をするにしても、継続していけるかどうかって大切ですもんね。

じっくり検討して、スタートの時期を考えたいと思います♬

ありがとうございました(*^^*)

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2023.12.30

検討している時間もたのしいですよね!お役に立つ部分があったならうれしいです。

万年筆ってどうしても道楽の面が目立つアイテムですけれど,ふつうに実用的な道具なので,新規ユーザさんにはぜひ使い勝手に感動してもらいたいなって思っています。

こちらこそ,お読みくださりありがとうございました!

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2023.12.30

万年筆の達人ですね❗

詳しくありがとうございます🎵

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2023.12.31

達人なんてとんでもない!愛好家の人たちには全然かないません。

10代の頃にお金もないのに万年筆専門店に入り浸って,店主さんや先輩方にとっても親切にしていただいたので,自分が役に立てそうな場面があったらがんばりたいなと思っております。

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2023.12.31

まな(mana96)さん

はじめまして!よくいいねしていただき、ありがとうございます🥺


2024年は万年筆に挑戦したいと思っている私にとって、とっても参考になる投稿です🥺!そして、読んでさらに万年筆を使ってみたい気持ちが膨らんでまいりました!素晴らしい投稿ありがとうございます🥰


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2023.12.31

megmogさん,はじめまして!コメントありがとうございます。


万年筆デビュー,たのしみですね。ぜひすてきな1本を見つけてください。

今回の記事はあわてて書いたものなので,また改めて手帳の観点から万年筆についての記事を書きたいなぁと思っています。長文にお付き合いくださりありがとうございました!

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2024.01.01

うわー!参考になります!

いま、セーラーの5000円程度のを注文してて、楽しみにしてるんです。

そうかー、金ペンは値段上がってますよね。手に馴染むためにはやっぱりそこそこ良いものから手にした方が良さそうですね。

でも、マック本の万年筆も楽しくて好き❤️

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2024.01.01

ムックがマックに変換されてしまった😂

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2024.01.01

商品の到着待ちをしていらっしゃるのですね!わくわくしますね。

値段と愛着は関係ないので,たのしく使えれば大成功だと思っています。今ほど万年筆が流行る前に万年筆好きを公言していたら,いろんな方からお家で眠っていたペンをいただいたのですけれど,大切に使われていた道具の魅力ってレア度や価格じゃないんですよね。うちにもチープな上にポンコツな,だけど愛おしいペンが何本もあります。


コメントありがとうございました!

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2024.01.02